財務部 税務課
自動車税の身体障害者減免申請の
ユニバーサル化
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自動車税の身体障害者減免申請のユニバーサル化
自動車税の身体障害者減免の申請が現状ほぼ紙で行われており、申請者・職員双方に手続きの負担と確認ミスのリスクが生じている。
スマホアプリ等で減免申請を電子受付できるシステムを試行導入し、紙・デジタル混在の申請管理業務を効率化できるか検証する。
申請者に適した申請方法を確保し、職員は審査やサポート業務に注力できる環境に。電子申請の普及と管理業務のデジタル化でミス・負担を大幅削減する。
ユニバーサルデザイン型の電子申請モデルを確立し、静岡県での本格導入の可能性と他自治体への横展開で販路拡大・認知向上。
私たち財務事務所(静岡県税務課)は、県民の皆さまから納めていただく自動車税の業務を担っています。その中には、身体等に障害のある方などを対象とした自動車税の減免制度の運用も含まれ、新規申請から毎年の継続申請(現況報告)まで各財務事務所の窓口で受付・確認を行っています。しかし、この申請業務には多くの課題があります。毎年1月になると減免を受けている県民の方々へ現況報告書を郵送し、必要事項を記入して返送していただくのですが、この時期は申請書の記入方法に関する問い合わせが集中し、特に住所変更や車両入替など状況によって記入内容が変わるケースでは「どこに何を書けばいいのか」という質問が相次ぎます。職員は問い合わせに対応しながら、提出された紙の申請書を一枚ずつ確認し、記入内容に応じた次の手続きの案内やデータの手入力等多くの作業に追われる日々です。万が一チェックミスや処理の遅れがあると、本来受けられるはずの減免から外れてしまう可能性もあるため、確認作業には細心の注意が必要で職員の神経も張り詰めます。それでも毎年数千件に及ぶ申請書を処理する中で、書類不備や入力ミスをゼロに抑えるのは容易ではなく、現場の負担は大きいのが実情です。
現状、この減免申請業務にはいくつもの課題が山積しています。まず継続申請(現況報告)の電子申請の利用が進んでいないことです。インターネット経由で手続きを行う「ふじのくに電子申請システム」を用意しているのですが、利用される方はほとんどおらず、依然として継続申請は紙の書類で行われています。そのため県は毎年全対象者へ継続申請書類を郵送しており、郵送費・印刷費のコストもかさんでいます。次に、問い合わせ件数の多さも深刻です。申請内容によって記入すべき項目が異なるため、「このケースではどの欄をどう書けば?」という問い合わせが非常に多く、受付期間である1~3月は電話が鳴り止むことなく対応に追われます。現在、継続申請書に同封している記入例は「変更なし」の場合のみの簡易なものなので、変更があるケースの細かな説明までは手が回っていません。担当職員が電話対応に追われる一方で、申請者や代理申請者にとっても「平日昼間に電話で問い合わせる」こと自体が負担であり、気軽に質問・自己解決できる仕組みが求められています。紙とデジタルの管理の不整合も課題です。現在は紙での管理がベースとなっているため、デジタルで管理したい場合は、担当が手打ちでデータを作成し進捗状況を管理しています。「それなら電子申請に一本化してしまえば?」と思われるかもしれませんが、高齢の方や障害のある方を含め誰もが使える手段を確保するため、紙の申請も残さざるを得ません。紙とオンライン双方からの申請を受け付けつつ、事務処理を効率化する方法を模索する必要があります。
さらに見逃せないのが、新規申請は未だに窓口のみという現状です。継続申請(現況報告)は郵送や電子申請で対応できますが、新たに減免を申請する場合は必ず平日に窓口まで来庁いただく必要があります。申請書の記入指導や必要書類(車検証や身分証の確認など)で、一件あたり20~30分程度は窓口対応に時間を要します。遠方にお住まいの方や車椅子利用の方にとって来所は大きな負担です。また、そのような手間のかかる手続きの中で、必要書類の不足や納税義務者の方の名義が異なる等の理由で適用条件が満たされていない場合には、再度来所をお願いする場合もあります。申請に来所された方に「わかりにくい」「また時間を作れというのか」といったお叱りを受けてしまうこともあります。他の自治体では、オンライン申請を受け付けて減免証明となるステッカーを郵送交付することで、来所せずに手続き完了できるようにしている事例も生まれています。静岡県でもこうした先行事例を参考に、誰もが使えるユニバーサルな申請手段を整備していきたいと考えています。
私たちは今、誰にとっても使いやすいユニバーサル対応の減免申請システムを構築したいと考えています。申請者自身がパソコンやスマホ等から申請内容を入力・送信できる仕組みを整えれば、現在ほぼ手作業で行っている内容確認や進捗管理の多くをデジタル化できます。現在紙で蓄積している減免対象者に関する情報をデータ化すれば、オンライン申請情報を突合して不備を自動チェックするといったことも可能になるでしょう。申請者ご自身による電子申請が増えれば、バックヤードでの書類照合作業が減り、確認ミスや処理の遅れも防ぎやすくなります。私たちはこの新システムにより、申請者の方にも「いつでもどこでも手続きできる」という安心を提供し、職員にとっても業務負担が軽減されミスに怯えずに済む環境を実現したいと考えています。
このプロジェクトによって、障害者減免申請の風景は大きく変わるはずです。例えば、年間約5,000件にも及ぶ電話での問い合わせ対応は半減し、郵送や来所の手間も削減されるでしょう。何より、電子申請が進めば身体等に障害のある方にとっても申請が容易になります。デジタル技術によって誰一人取り残すことのないよう申請手続きを支援し、県民にも職員にも優しい未来を創る、静岡県はそんな明るい未来に向けて、スタートアップの皆さんと協働でチャレンジしていきます。
背景
静岡県では、障害者を対象とした自動車税減免制度を実施しており、新規申請は窓口対応が必要で1件20~30分の手間がかかる。毎年1月に紙ベースで継続申請を案内している。電子申請も整備されているが利用率は低く、職員の確認作業や問い合わせ対応の負担が大きい。
課題
継続申請(現況報告)は電子申請が可能だが、利用率が低く、住所修正やデータ入力など職員の手作業負担が大きいほか、記入方法の問い合わせも集中し対応に追われている。また、紙と電子の併用管理が非効率で、バックヤード業務も煩雑である。さらに、新規申請は窓口対応に限られ、来所が必要な点も課題となっており、電子化の推進が求められる。
求める解決策
誰もがスマホやPCで申請できる電子申請システムと、紙・デジタル両方を一元管理できる仕組みを求めている。
想定する
実証実験内容
スマホ・PC対応の電子申請を一部対象者に試行し、紙処理作業や職員の確認業務の効率化を検証する。
実証実験成功後
の発展性
本取り組みを自動車税の身体障害者減免申請のデジタル化モデルケースとして他の都道府県や自治体への展開も期待できる。また、減免以外の申請手続オンライン化への応用や、県内の他業務への水平展開も可能性がある。
提案企業に
求める専門性
・クラウドサービス(SaaS)や電子申請サービスへの知見
高齢者や障害者にも配慮した行政手続における優れたUI/UX設計への知見
・紙とデジタルが併存する移行期を前提としたシステム設計や、段階的に電子化を進めるためのノウハウを備えていることが望ましい。
プロジェクトの
進め方
打合せは対面でもオンラインでもどちらでも可能である。
提供可能な
データ・
環境等
必要に応じて税事務所へのヒアリングも可能。
プログラム
終了後の
本格導入
実証実験の結果、解決策の有効性が確認できた場合には、静岡県庁への本格導入に向けて予算化を含めた検討を行う。