総務部 広聴広報課
県民対応業務の属人化・非効率性
から脱却し、
誰もが対応しやすい
窓口業務を構築したい!
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県民対応業務の属人化・非効率性から脱却し、誰もが対応しやすい窓口業務を構築したい!
問い合わせ対応が属人化し、対応の品質や速度にばらつきがあり、新任職員への電話対応業務の引き継ぎも困難な状況となっている。
ICTツールで通話を可視化・記録し、担当課検索を効率化する。対応フローの標準化を検証したい。
誰でも対応可能な仕組みで心理的負担を軽減し、迅速・的確な県庁窓口を目指したい。
県内導入・継続利用を見据え、他自治体や民間企業等への展開や広報効果が期待できる。
静岡県庁では、県民の皆様からの問い合わせや意見に対応するために、東館2階に「県庁案内窓口」と「相談窓口」、東館4階に「県政へのご意見窓口」という主に三つの窓口を設けています。案内窓口では担当部署への取次ぎ、相談窓口では困りごとに応じた相談先の紹介、意見窓口では県政に対するご意見や要望を受け付けるなど、それぞれの役割で県民の声を受け止めています。広聴広報課の職員は日々、県民から寄せられる問い合わせ内容を丁寧に聞き取り、内容に応じて関係各課のへ取次ぎや電話口頭記録の作成、情報共有を行っています。例えば令和6年度の年間対応件数は、県庁案内窓口で約12,151件(1日あたり約66件)、相談窓口で約1,175件(同約5件)、意見窓口で約1,719件(同約7件)にも上ります。ときには30分以上かかる長時間のご意見対応(年間96件)もあります。
これだけ多種多様な県民の声に応える現場ですが、明確な問い合わせ先一覧や標準的な対応フローは整備されておらず、職員は個々の経験や口伝えに頼って対応せざるを得ないのが現状です。その結果、問い合わせ内容によって初動対応に戸惑ったり、対応の質やスピードにばらつきが生じたりしています。業務が特定のベテラン職員に属人化してしまい、新任職員が即戦力として対応することも難しい状況です。特に、県民から寄せられるご意見では、新任職員や委託職員にとって通話内容を十分に把握できず適切な判断ができないケースも発生しています。いわゆるカスタマーハラスメントにあたる電話を受けてしまった場合、どう対処すべきか判断に迷い、対応に苦慮して心理的な負担を感じてしまうこともあります。しかし現状では、そうした対応困難な通話に周囲がリアルタイムで支援できる体制が整っていません。もし通話内容をリアルタイムで文字起こし・共有できれば、周囲の同僚が状況を把握して適切なタイミングで助け舟を出すことも可能になるはずです。現場では日々、「もっと見える化された仕組みで皆が協力し合えれば、新任職員でも安心して電話対応できるのに…」という思いを強くしています。
電話で要件を伺った後、現場の職員は問い合わせ内容に応じて最適な担当課へ繋ぐために、紙の担当課一覧や更新頻度の低い庁内データベースで確認したり、県の最新事業・補助金情報、知事記者会見の内容などを手がかりにインターネット検索を駆使したりしています。しかし、こうした従来の調査方法では必要な情報を探し出すのに時間がかかり、しかも網羅性に欠けるのが実情です。そのため電話口でお待たせする時間が長くなり、県民の方を不安にさせてしまうケースも発生しています。最悪の場合、たらい回し的に何度も部署間を転送されたり、対応への不満から更なる苦情・ご意見につながってしまうこともあります。
窓口業務には通話後の記録作成と共有も存在します。特に「県政へのご意見窓口」で他課宛ての問い合わせを一時的に受け付けた場合、通話内容を要約した電話口頭記録簿を作成し、上長決裁を経て関係課に情報共有するという手順が必要です。現在、この記録簿は通話中に取ったメモをもとに職員が紙で書類作成しており、書類の完成までに半日程度を要することもあるのが現状です。こうした記録作成業務は職員にとって「本来業務に加えて更に行う追加業務」であり、心理的負担も大きくこの負担を軽減したいと考えています。
以上のように、私たち広聴広報課の窓口業務は属人化・非効率性や情報検索の手間、記録作成の負担といった複数の課題を抱えています。しかし裏を返せば、これらを解決することで県民対応の質を飛躍的に向上させる大きなチャンスでもあります。私たちは今、この課題に本気で向き合い、ICT技術の力を借りて現場を変革しようとしています。
例えば、通話内容をリアルタイムで文字起こし・分析して周囲で共有するシステムがあれば、難しい電話にもチームで対応できるようになります。また、過去の問い合わせデータや行政情報を横断検索できるナレッジベースがあれば、担当課の迅速な特定が可能になるでしょう。さらに、通話録音から要点を自動抽出して記録簿を生成するツールがあれば、記録作成に費やす時間と労力は大幅に削減できるはずです。私たちは県民や職員の負担を減らし、県民の大切な声が適切に各部署へ届けられる新たな仕組みをぜひ実現したいと考えています。
スタートアップの皆様の柔軟な発想とテクノロジーによって、この窓口業務のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を共に成し遂げ、県民をお待たせしないスムーズな行政サービスの未来を創り上げていきましょう!
背景
静岡県庁では、案内・相談・意見の3つの窓口で県民からの問い合わせに対応しており、広聴広報課が関係課への取次ぎや記録作成を担っている。令和6年度の対応件数は年間約15,000件に上り、意見窓口では長時間対応も多く発生。
課題
問い合わせ対応はマニュアル未整備で属人化しており、新人や委託職員への支援も不十分である。担当課の特定には非効率な検索作業が必要で、対応遅延や苦情の原因となっている。また、通話記録作成も紙ベースで負担が大きく、業務効率や職員の心理的負荷に課題がある。
求める解決策
問い合わせ対応の属人化と非効率性を解消するため、ICTを活用した業務支援ツールの導入を求める。具体的には、通話内容の可視化、担当課の自動検索、録音データからの記録簿自動生成などにより、窓口対応の標準化・迅速化を図る。県民と職員双方の負担を軽減し、正確な情報伝達と持続可能な運用体制を構築する。
想定する
実証実験内容
広聴広報課の窓口業務にプロトタイプシステムを導入し、音声認識や自動検索によるリアルタイム支援を検証。過去の問い合わせデータも活用し、業務時間短縮や対応精度、職員負担軽減などの効果を定量・定性的に評価する。
実証実験成功後
の発展性
実証で効果が確認されれば広聴広報課での本格導入を検討する。本実証が成功した暁には、県庁内の他部局や他自治体、全国の行政・民間窓口業務への展開の可能性もあると想定される。スタートアップにとっては全国展開のチャンスになる。
提案企業に
求める専門性
音声・テキスト分析や感情分析、データ可視化、音声認識・OCR等を活用したシステム構築、SaaS型意見管理ツールの開発経験がある企業を歓迎する。
プロジェクトの
進め方
週1回のオンライン会議を基本に、必要に応じて現地確認も実施。チャット等で気軽に相談できる体制を整え、柔軟かつ密な連携で二人三脚の協働を目指す。
提供可能な
データ・
環境等
過去1年分の問い合わせ記録データ、庁内担当課情報やマニュアル、広聴広報課での実証環境、記録簿テンプレートなど、多様なデータと現場協力体制を提供する。
プログラム
終了後の
本格導入
実証実験の結果、解決策の有効性が確認できた場合には、静岡県庁への本格導入に向けて予算化を含めた検討を行う。