交通基盤部 地域交通課
顔認証技術を使って
バスの乗降データを取得したい
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顔認証技術を使ってバスの乗降データを取得したい
バス利用者の年代・乗降場所など詳細な利用実態データが把握できておらず、データに基づく公共交通サービス改善が困難な状況。
バス車内に顔認証カメラ等を設置し、乗降時に乗客の属性データ(年代等)を自動収集・分析するデジタル乗降調査の実証。
データに基づく路線やダイヤの最適化・サービス改善で公共交通の利便性向上と持続可能性を実現する。
県全域展開を見据えた実証機会で、技術力を広くPR可能。
自主運行バスのある市町やバス事業者等を顧客として得られる可能性がある。
本県では自家用車に依存したライフスタイルが定着したことや人口減少の影響等を受け、公共交通機関のうち、特に路線バスの利用者は減少傾向にあります。利用者数の減少は減便・廃止などサービスレベルの低下を招き、これが更なる利用者の減少を招くといった負のスパイラルを生じさせています。バス事業者の経営環境はもとより厳しい状況にありましたが、新型コロナウィルス感染症拡大による外出自粛や経済活動の停滞により利用者数が減少し、現在もコロナ禍前の水準まで回復していません。さらには運転手不足が一層深刻となったことから、存続自体が危ぶまれる事業区間も出てきています。そのような状況下で、私たち地域交通課としては、バスの利便性を向上し、利用者数を増加させることで、バス会社の経営難や事業区間の廃止・撤退を防ぎ、より地域の実情に即した県民の移動の足を確保したいと考えています。
しかし、いざ打開策を考えようとしても、肝心の「利用実態」が見えていない壁にぶつかりました。現在、バスの乗降状況を把握する手段は限られており、一部の路線で人力による調査を期間限定で行うのが精一杯です。例えば、とある平日の朝、職員やバス会社スタッフがカウンターを手に乗車人数を数えても、それは年に数日の断片的なデータにすぎません。その結果、「この路線はどの時間帯にどんな人がどれくらい乗っているのだろう?」という基本的な情報が不足しているのが現状です。「データがなければ施策を作りたくても作れない」担当者としてももどかしい限りです。一方で、利用者の多くを占める高齢者の方々からは、「最近バスが減って不便になった」「いつかこのバスもなくなってしまうのでは」といった不安の声が寄せられています。現場では日々、なんとか現状を把握しようともがいていますが、データの裏付けがないために有効な手を打てずにいるのです。
そこで私たちは先進技術の力で、この「見えない」を「見える」に変えられないだろうか? 幸い近年はAIやIoTの進展で、カメラ映像から人流を解析するといった技術が実用段階に入っています。バスの乗降口に小さなカメラを設置し、乗ってくる乗客を自動でカウントすると同時に年代層などの属性を推定する、そんなシステムがあれば、人力に頼らず乗降データを取れるはずです。判断材料の少なかった路線やダイヤの見直しを、データに基づいて議論できるようになります。「非接触型の乗降調査でデータを100%自動取得する」そんなこれまでにないアプローチで、停滞していた公共交通改善に風穴を開けたいと考えました。この挑戦は単にバス事業を支援するにとどまらず、得られたデータは交通弱者対策や脱炭素社会づくりにも資する可能性があります。先進技術で地域の移動をアップデートし、新たな価値を創出する第一歩にしたいのです。
静岡県には、この実証の先に大きな展開力があります。というのも、静岡県では県内すべてのバス事業者と日頃から密接に連携するネットワークがあり、優れた施策は県全体統一で導入できる体制が整っているからです。仮に今回の実証が県内の一部エリア・一部車両での試行に終わったとしても、成功さえすれば速やかに県内全域へ横展開することが現実味を帯びています。これはスタートアップ企業の皆さんにとっても大きな魅力ではないでしょうか。限られた地域での単発のPoC(実証実験)に終わらず、最初から全県レベルでの実装を目指せるフィールドがここにあります。さらに、静岡県は地理的にも東西に広く都市部と中山間地を併せ持つため、本県内での展開はそのまま日本各地の様々な地域特性に対応できるソリューション検証にもなります。言わば静岡県全域を舞台に、公共交通データ利活用モデルのショーケースを作ることができるのです。今回手がけるプロジェクトの成果次第では、他の都道府県や全国の公共交通への展開も夢ではありません。私たちはこのフィールドの大きさと可能性を、ぜひ皆様にも知っていただきたいと考えています。
今回の挑戦は、私たち自身にとっても未知の領域への一歩です。しかし行政の役割にとらわれず、新たな発想とテクノロジーを持つスタートアップの皆様となら、きっと道は切り拓けると信じています。単なる実証実験に終わらせず、地域の未来を共に創るパートナーとして挑戦していただきたい。乗客一人ひとりの姿が見えるようになれば、データに基づく政策で地域交通の未来を変えられる。本気でそう信じて、この課題に立ち向かっています。社会的意義の大きなテーマに、本気で挑むフィールドがここにあります。静岡県と二人三脚で、地域交通再生というミッションを成し遂げましょう。私たちの本気の課題解決に、ぜひ力を貸してください!
背景
自家用車への依存や人口減少により公共交通利用者が減少し、減便や路線廃止の負の連鎖が生じている。さらにコロナ禍や運転手不足が追い打ちをかけ、一部のバス路線は存続の危機に陥っている。
課題
バス利用者の年代や乗降場所などのデータを十分に把握できず、利用実態が見えていない。人手に頼る乗降調査は期間・区間が限定的で負担も大きく、得られたデータでは十分に分析・活用ができないため、データに基づく施策立案が困難な状況となっている。
求める解決策
顔認証カメラ等の先進技術を活用し、バス車内で乗降データ(年齢層、乗降停留所、利用時間帯、生活利用者と観光客等の判別など)を非接触で自動収集・分析する仕組みを構築したいと考えている。収集したデータを可視化して路線やダイヤの最適化、新サービスの設計に活かす。
想定する
実証実験内容
一部地域のバス車両に顔認証カメラを設置して乗降データの自動収集・分析を試行する実証実験を行う。
実証実験成功後
の発展性
同様の課題を持つ自治体、バス事業者等での展開が可能。
提案企業に
求める専門性
顔認証や属性推定AI、匿名化処理への知見
法規制対応や地域調整に柔軟かつ現場目線で対応できること
プロジェクトの
進め方
打合せは対面でもオンラインでもどちらでも可能である。
提供可能な
データ・
環境等
公共交通の利用統計や過去調査データ、協力バス事業者の車両と実証フィールド、路線図や時刻表、停留所GPS情報などの基礎データを提供。
プログラム
終了後の
本格導入
実証実験の結果、解決策の有効性が確認できた場合には、実証する路線の拡大等を検討する。