2021年07月29日 更新

100均の加湿器に人感センサ―搭載

どうも、クラゲです。
100円ショップのダイソーで売っていた「ミニ加湿器」からスイッチを取っ払い、空いたスペースに人感センサーを搭載し、自動的にON/OFFできるようにしました。

近くで人の動きを検知すると数秒間ミストが噴出します。
同時にLEDも点灯しています。夜は光っているのが分かりやすいです。なお、噴出継続時間はセンサーに調整ツマミがついているので最大60分まで伸ばすことも可能です。

商品の動作確認

まず、商品そのものを見てみましょう いくつか種類があるようで、今回は「しずく型」というタイプを購入しました。水量が確認しやすいのが特徴的です。 下の写真のようなパッケージに入っていました。microUSBケーブルも入っています。取り出して水を入れ、USBから給電すれば、すぐに動作させることが可能です。カラーバリエーションもあります。クラゲは海の色に近いブルーを選びました。 100円ではないので注意してください。

実際の動作の様子です。

スイッチは正面に1つだけあり、押す度に4つのモードが切り替わります。モード4の次はモード1に再び戻ります。USB電源供給時はモード1です。

モード 加湿(ミスト) LED点灯
1 OFF OFF
2 ON OFF
3 ON ON
4 OFF ON

クラゲは裏技を発見しました!
スイッチを押しながらUSB電源を供給するとモード2から始まるのです。これは後の改造で大いに役立ちます。

加湿器の種類と仕組み

一般的な加湿器は大きく分けて以下の3つあるようです。

  • 気化式:ドライヤーで濡れた洗濯物を乾かすイメージ
  • スチーム式:熱でお湯を沸かして蒸気を出すイメージ
  • 超音波式:霧吹き器で細かい水滴を出すイメージ

気化式は自然な加湿、スチーム式はクリーンな加湿、超音波式は安価がそれぞれ特徴です。
今回のダイソーのミニ加湿器は超音波式です。
超音波式とは、霧吹き器のような空気圧ではなく、圧電セラミックス振動子に高周波の交流電圧を加える方式で、発生した超音波の振動エネルギーにより水面の一部が隆起し、そこから微細な霧が発生する仕組みです。

分解

下の写真はミニ加湿器を分解した中の部品です。ネジ6本をプラスドライバーで簡単に外すことができます。

写真の左側にある円筒の上に載っている部品が圧電セラミックス振動子です。
円筒の中に吸水する芯がセットできるようになっており、タンク部から圧電セラミックス振動子まで水分が伝わるようになっています。
右の茶色が電子基板の裏側で、右下の樹脂の裏にはタクトスイッチがはめ込まれています。

電子基板の表面です。
8pinのICやmicroUSBコネクタなどいくつかの部品が搭載されています。

回路

目視、動作、テスターによる確認から、回路図を予想で書いてみました。

いくつか不明な箇所があります。
真ん中にあるICの型番、詳しい機能や性能は不明です。
またICの1pinが電源と予想できるのですが、USB5V電源との間に直列で抵抗が入っています。今までこのような回路は見たことがないのですが、コストダウンのための簡易フィルタもしくは微妙に電圧を下げたかったということでしょうか。
右中央にある部品T1も不明です。電解コンデンサのような形をした3端子のリード部品です。おそらくトランスかコイルで、電圧を上げるための目的と思われます。

人感センサ

今回はクラゲの手持ち部品の中から、こちらの人感センサSB412Aを使いました。
形がクラゲっぽいのでお気に入りのセンサです。

VDD, OUT, GNDの3信号のみで、検知するとOUT信号から3.0Vを出力します。非検知時は0Vを出力します。電源は3.3~12Vまでの範囲があり、out端子の電圧値に影響はありません。
プラスドライバーで可変抵抗を調整することにより、検知時のout信号3.0V保持を5秒~60分まで調整可能です。

機構的な改造

筐体の上部分です。てっぺんの穴は圧電セラミック振動子がミストを吹き出す所で、横の穴がスイッチの穴です。このスイッチ穴に人感センサの頭の部分がぴったりはまりそうじゃないですか?!

結論から言うと2つ加工する必要がありました。

  • 穴を少し広げる
  • 人感センサを分断する

穴については、テーパーリーマーという道具を使うと簡単に広げやすいです。もちろんヤスリでも問題ありません。

人感センサの分断はこんな感じです。

まずL字のコネクタ部はニッパ―で切りました。
球型のセンサ部は足が4つあり、基板にハンダ付けされています。ハンダゴテとハンダ吸い取り線を使うことで取ることが出来ました。
最後に今まで接続されていた4箇所を線材を使って延長させました。

電気的な改造

元の回路の駆動部は、ICのOUT(5pin)からパルス波形を出してFETを経由してトランスで電圧が増幅させる部分です。
改造方針として、この駆動部に手を加えないことと、追加部品は出来る限り少なくするということを重点に置き考えました。

そこで、ICの電源VDD(1pin)供給を人感センサによる制御で行うこととしました。
変更点は5箇所です。

  1. Add:部品追加
  2. Cut:ICのVDD(1pin)をカット
  3. Cut:LED(3pin)をカット
  4. Short:SW入力(4pin)をショート
  5. Delete:タクトスイッチを削除

こちらが改造を反映した回路図です。

1のAddではロジックICを使っています。電源の制御なのでFETなどのトランジスタを使うのが一般的です。しかし通常のトランジスタを使った場合だと最低2つ以上の部品が必要になります。一方のロジックICであれば1つで済みます。
改造前にR2の電圧降下を利用してテスターで確認し計算したところ、ICの消費電流は2mA程度でした。この程度の電流であればロジックICでも十分に供給できます。
クラゲの手持ちを探したところ、TC74VHCT540AFという3ステートバッファ―ICがありました。
3つの重要な項目をクラゲの勘所で抜き出し、仕様をチェックしてみましたが、問題なさそうです。

項目 仕様 チェック
電源電圧 4.5~5.5V USB5Vの電圧範囲内なのでOK
入力電圧Hレベル 最小2.0V 人感センサー出力値3.0Vより閾値が低いのでOK
出力電流 ±25mA ICの消費電流2mAより多いのでOK

改造後の写真です。両面テープを貼って、ロジックICをひっくり返して貼り付けました。回路図の通りに結線しています。
右下の黒, 黄, 青の3本の線はGND, USB5V, R2へ繋ぐためのものです。

ロジックICでの各信号のロジックは以下の通りです。

人感センサOUT = A7 Y7 = A5 = LEDカソード側 Y5 = IC電源
検知 : 3V 0V : LED点灯 5V : IC電源ON
非検知 : 0V 5V : LED消灯 0V : IC電源OFF

2の1pinカットは抵抗R2の片側をランドからを少しずらすことで実施しました。

3の3pinカットは人感センサーOFF時にLEDが点灯してしまうこと防ぐためです。(IC電源OFF時であっても電流が回り込んでLEDが点灯してしまっていた)
カットしたR5の方はロジックICの/A5に接続しています。/A5は赤外線センサの検知とは論理が逆の信号です。

4のショートは、動作確認での裏技を有効にするために、ICのSW入力はGNDにショートさせます。

2,3,4の変更箇所は主に基板の表面で処理しています。ショートはレジストを剥いでハンダ付けしてます。

5のタクトスイッチ削除は、代わりに赤外線センサを置くためです。

完成

改造した基板と、赤外線センサを筐体に組み込んで完成です。配線などは必要に応じてテープなどで筐体の裏で止めておいた方が良さそうです。クラゲは赤外線センサーのセンサ部を特に固定していませんが、ホットボンドなどで固定すると良いと思います。
全て元の筐体の中に押し込めるられることも今回のポイントです。

全く違和感ないですね。むしろこれが真の姿なんじゃないかというくらい自然です。
しばらく動作させていますが、問題なく動いています!

参考にさせていただいたサイト

以上、100均グッズの加湿器に人感センサ―搭載でした!